体重100kgの男がボクシングで20kg痩せた話①「学生時代は相撲やられてた?」

体重100キロ…すなわち0.1トン

この大台に達したときの絶望感はいまでもよく覚えています。

薄々、「自分は太っているんじゃないか…?」とは思いつつも、現実を直視したくなくて体重計には乗らない。でも毎日のビールはおいしい。からあげもおいしい。ぜんぶおいしい。

加えて、その時は初めてのレシピ本の出版もあり、試作しては食べ、撮影しては食べ、撮影後は打ち上げで飲んで、また食べて…という生活を繰り返していました。

しかしある日、ほんの気まぐれで乗った体重計を見て、驚愕しました。

100キロです。0.1トンです。イナバの物置が「100人乗っても大丈夫」と言っていますが、おそらくその時の私だったら80人くらいでアウトだったのではないでしょうか。

私は身長が185cmで、ベスト体重は78~80kg。学生時代はバスケットをしていたため、もちろんスリムな体型でした。そんな過去の栄光にすがりながらも、現実は0.1トンです。

落ち込んだ私は、

「お酒 飲みながら 痩せる」「痩せる 簡単 つらくない」

という絶妙なワードで検索しながら夜な夜なお酒を飲み、痩せていたころの自分の写真を眺め、「なかなかいい男じゃないか」と過去の自分自身を褒めるという恥ずかしい行為を繰り返してました。

そんな生活で痩せるわけもなく、健康診断の数値も最悪、同窓会で15年ぶりに再会した同級生には「だれだっけ?」と言われ、仕事の取引先の方には「学生時代は相撲やられてた?」と言われるほど。

その時、ちょうど30歳になるという節目のタイミングでもあったため、「これはまずい!」と、ようやく0.1トンの重い腰を上げることにしました。

運動すりゃ痩せるだろ

学生時代に運動を頑張っていた人によくありがちな、「自分は運動すれば痩せるから」という意識が、私には過剰にありました。

バスケの練習の前に毎日10~15キロの走り込みをしていたこともあり、「毎日走れば痩せるっしょ」と、意気揚々とランニングを始めました。

1日で膝を壊しました。

0.1トンの衝撃はすさまじく、走るたびにドスンドスンと膝にダメージがたまっていきます。軽く10キロ走ろうかなという目論見は崩れ、1.5キロ地点で無念のリタイアです。

「走るのはもう少し痩せてからだ」

私はポジティブに捉え、自宅でできる筋トレを始めました。さっそく腕立て伏せを始めてみますが、ここでも0.1トンの恐ろしさを知ります。そう、体が重すぎて、腕立て伏せが出来ないのです。膝をついてやってみても5回で腕がピルピルしてしまう始末です。

しかし、それでも妙な満足感が得られるから怖い。ちょっとやっただけで「いい汗かいたぜ」なんて思いながら、淡麗グリーンラベルを取り出してグイッと飲む日々が始まりました。

そうだ、ボクシングをやろう

ランニングもだめ、筋トレも満足にできない、そんな自分に失望しながらも「自分には単調な運動は向いていない。やっぱり楽しまなくっちゃ」という、ポジティブというか、ポジデブな私は、急に「ボクシングやれば痩せるんじゃ?」と思い至りました。

しかしボクシングには少し苦い思い出がありました。

中学生時代に『クローズ』という漫画の久能龍信というキャラにあこがれてボクシングジムに入門しました。そこはガチンコなボクシングジムで、入会3日目で「お前、体もでかいしスジもいいから」ということを言われて、スパーリングをすることになりました。

褒められて調子に乗った私は「これが俺の成り上がりの第一歩か…」と心の中で思いましたが、結果は1RでKOされてしまいます。与沢翼さんもびっくりの秒速KOでした。

それもそのはず、相手は高校生で、北海道チャンピオン。全国大会でも好成績を残している選手でした。

しばらくジムには通っていたものの、スパーリングのたびにKOし、鼻血は吹き出し……そのうちジムから足が遠のいていきました。

といったように、ボクシングジムというのは殺伐としたイメージがあったのですが、最近はダイエットにボクシングを取り入れている人も多いと聞きます。

なので、私は自分が通える範囲で「ボクシングジム」と検索して、サイトを見る感じ、あまり怖くなさそうで爽やかそうなボクシングジム「SOETE」にたどり着きました。

(続く)

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